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 福島の原発事故以降、日本では、国民の意識が大きく変わり、多くの国民がエネルギー問題に強い関心を抱くようになっています。例えば、毎週金曜日の夕方には首相官邸周辺に「原発再稼働反対」を唱えるデモの参加者が1~10万人規模で継続して集まっています。また、政府が、2030年の原子力発電への依存度を示すエネルギー政策について、パブリックコメント(公募意見)を募集したところ、8万件を超えるコメントが寄せられました。
 一方で、日本の長期的なエネルギー政策の行く末は、東日本大震災から一年半近くが経過した現在でも、未だ決まっていないという状況です。

 このような中で、日本の主要な全国紙に、先進国としては初めてすべての原発を停止する期日を確定させたドイツのエネルギー問題への取り組みに関する記事が載るようになっています。
 今回は、ドイツの“大いなるチャレンジ”をご紹介します。


☆日本とよく似た状況にあったドイツ
 世界で最も環境保護を重視する国の一つであるドイツは、日本と同じく天然資源が乏しい国であり、付加価値が高い製品の輸出に大きく依存している物づくり大国です。また、工業国のドイツにとって、電力の安定供給が企業の生産活動にとって極めて重要な点も日本とよく似た状況にあります。
 以前のドイツの電力供給体制は、現在の日本と同様に「地域独占」でしたが、EU(欧州連合)の圧力により、1998年からドイツでも電力市場の自由化が始まりました。

☆ドイツにおけるエネルギー革命「Energiewende(エネルギー・ヴェンデ)」
 ドイツでは、「非炭素(※化石燃料使用からの脱却のこと)社会の実現」というビジョンを掲げて、温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素の排出量を削減し、地球温暖化と気候変動に歯止めをかけることを目指しています。
 そのため、地球温暖化の防止のために、2050年までに、原子力や化石燃料への依存から脱却し、発電量の80%を再生可能エネルギー(風力やバイオマス、太陽光が中心)で賄うことを目指しています。
 ドイツでは、このエネルギー革命を、Energiewende(エネルギー・ヴェンデ※1)と呼んでいます。
(※1)ヴェンデとは、ドイツ語で「大きな変化」のこと

☆ドイツのエネルギー政策に大きな影響を与えた福島の原発事故
 福島の原発事故は、1万メートル離れたドイツという国のエネルギー政策をさらに変えました。ドイツ政府は、福島事故をきっかけに脱原子力計画を加速し、2022年12月末までにすべての原発を廃止することを決めたのです。

☆「安定したエネルギー供給のための倫理委員会」を設置
 ドイツ政府は、東日本大震災後の2011年4月4日に、宗教界や産業界、労組、学界、政界など各界の有識者17名を集めて「安定したエネルギー供給のための倫理委員会」(以下、倫理委員会)を設置しました。
 同倫理委員会は、5月30日に『ドイツにおけるエネルギー転換――未来のための共同の仕事』と題する報告書を発表し、その第1章の冒頭で「エネルギーシフトへのさまざまな手立てによって、原子力エネルギーの利用を約10年以内に廃止することは可能だと確信している。この目標達成に必要な取り組みは社会全体によってなされなければならない」(『欧州のエネルギーシフト』81頁より)とする勧告を示しました。

☆倫理委員会の報告書で触れられた「フクシマ原発事故」
 同報告書では「フクシマ」の原発事故について、以下のように述べています。
「日本のようなハイテク国家で原発事故が発生した。この事実は、そのような事故がドイツでは起きないという信頼をもろくも崩し去った。事故だけではなく、事故を制御しようとする試みも実っていない」
「フクシマ原発の事故は、『安全』についての専門家の判断への信頼を揺るがした。その判断に依拠してきた多くの市民はとくにそう感じるだろう。制御できない大災害が起きることは、反原発運動に加わらない市民でさえ望んでいない」
「原発のリスク自体はフクシマによって何も変わっていない。変わったのは、原発のリスク認識だ。より多くの人々が、大事故の危険性は仮定の話ではなく、実際に簡単に起きうることだと気がつき始めたのだ」
 (『欧州のエネルギーシフト』79~81頁より)

 報告書では、さらに「短期的な恩恵を求めて下した決定が将来世代の負担となる」と、原発という“巨大科学技術”が持つ潜在的なリスクを長い時間軸の中でとらえることが必要だと結論付けています。

☆メルケル首相を原子力反対派に変えたフクシマ原発事故
 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、それまでは原子力擁護派でしたが、福島事故の深刻さに衝撃を受け、原子力反対派に転じました。メルケル首相は、連邦議会で行った演説の中で次のように述べています。
「福島事故は、全世界にとって強烈な打撃でした。この事故は私個人にとっても、強い衝撃を与えました。福島原発で、事態がさらに悪化するのを防ぐために、人々が海水を使って原子炉を冷却しようとしていると聞いて、日本ほど技術水準が高い国でも、原子力のリスクを安全に制御することはできないということを理解しました。(中略)福島事故は、私の原子力に対する態度を変えたのです」
 (『脱原発を決めたドイツの挑戦』15頁より)

 この報告書を受けて、メルケル政権は2022年までに全17基の原発を閉鎖する方針を閣議決定しました。その後、ドイツでは、福島事故後から4日後、当時稼働していた16基の内、1980年以前から稼働していた7基が即時停止となり(その後、停止中の1基も含めて8基が廃炉)、残り9基も2022年までに漸次廃炉となることが決まっています。

 以上のように、同倫理委員会の報告書は、ドイツの脱原発への方向性を理論的に支え、決定づけたのです。

☆倫理委員会のメンバー、ミランダ氏に聞く
 次に、上記の倫理委員会のメンバー、ミランダ・シュラーズ氏(ベルリン自由大学教授)のインタビュー記事「脱原発のドイツ、日本をどう見る」(電子版『日本経済新聞』平成24年8月8日号)をご紹介します。

・ミランダ・シュラーズ氏:
「(エネルギー政策をめぐる日本国内の議論について)原子力発電の比率ばかりが焦点となり、討論の本当の枠組みが国民に見えにくいのではないか。原子力にイエスかノーかでなく、私たちがどういう未来を望むか、どんな日本にするのかについて、原発を脇において考えたらどうかと思う」

「日本を新しい道に導く契機になる。新しいビジョンが要る。(※2030年に原発比率をゼロにする選択肢などを政府が示した)3つのシナリオをあまり固定的に考えるのでなく、柔軟に考えることが大切だ。ゴールは原発ゼロに向かって動きつつどこまで代替エネルギーや省エネルギーの拡大ができるかをみて人口動態や経済成長などを勘案しながらアコーディオンのうように伸び縮みできる戦略を考えたらどうか」

「(再生可能エネルギーのコストについて)エネルギーの将来については様々な予測があるが、共通するのは石油や石炭はコストが上がるということだ。インドや中国、ブラジルの需要が増えるからだ。天然ガスは不確定性がある。一方、再生エネルギーのコストは下がる。陸上風力はすでにグリッドパリティ(既存の電力コストと同等)だ。太陽光は過去3年間でコストが40%減った。洋上風力は今は石炭火力の3倍だが、10年でパリティに達する。遅くとも2030年には再生エネルギーはパリティか、それを下回るだろう。(中略)コストの議論は単純すぎる。化石資源に依存すればお金は海外に出る。再生可能エネルギーの拡大では国内にとどまる。その違いは大きい」

「例えば、気候変動はドイツの人にとって最優先課題のひとつだ。低炭素社会に移行することで(化石燃料や原子力の)代替エネルギー産業を育て、次世代の雇用を生み、短期ではなく長期の競争力を高める。エネルギーコストを長期的に減らすことで実現できると考えた」

 さらにミランダ氏は、「日本は技術において世界のリーダーを自任するが、技術に目を向け過ぎ、生活の質や持続可能性についてあまり関心を払ってこなかったのではないか」「子どもたちが安全で快適な生活ができる社会はどんな社会なのかをもっと考えるべきだ」と語っています。

☆ドイツにとってエネルギー革命は「アポロ計画」
 上記倫理委員会の委員長で、先端サステナビリティー(持続可能性)研究所所長のクラウス・テプファー氏(元環境省大臣や国連環境計画(UNEP)の元事務局長)は、倫理委員会で「これはドイツにとっての“アポロ計画※2”のようなものではないか。(中略)脱原発という“月”にみんなで行ってほしい。この“月”への距離はずっと近いのだから」(『欧州のエネルギーシフト』92頁より)と述べています。

(※2)アポロ計画:
 アメリカが1960年代、月へ人類を送り込むために取り組んだ有人宇宙飛行計画のこと。1969年、ニーム・アームストロング船長が初めて人類として月に降り立ち、その足跡を残した。

<ミランダ・シュラーズ>
 アメリカ人、ベルリン自由大学教授、専攻は比較政治学、環境学、
 ドイツ政府が設けた「安定したエネルギー供給のための倫理委員会」のメンバー、 高校時代に茨城県の高校に留学した経験や日本の大学で学んだ経験がある

(参考)
『脱原発を決めたドイツの挑戦』(熊谷徹著、角川新書刊)
『欧州のエネルギーシフト』(脇坂紀行著、岩波新書刊)


 今年の3月1日に、総裁・谷口雅宣先生のご著書『次世代への決断――宗教者が“脱原発”を決めた理由』が発刊されました。
 総裁先生は、同書の中で、宗教者の立場から、今こそ人類は、次世代のために“脱原発”へと踏み出し、欲望を基礎とする現代文明からの転換を決断すべきことを訴えておられます。

 現在、日本が直面しているのは、夏の電力不足への対応や原発の再稼働の是非といった“目先の問題”ではありません。もちろん国民や企業がエネルギーの消費をいかに削減するかという“省エネの努力”や、脱原発・脱化石燃料から再生可能エネルギーへという“エネルギーの転換”が求められていることは言うまでもありませんが、最も大切なことは、今後、吾々人類がどのような社会を築いていくのかという“現代文明の転換”と“新たな文明の構築”さえも視野に入れた、吾々人間が今後、いかに生きるのかということが問われているのだと思います。
 

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宗教法人「生長の家」本部職員
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自分を高めること、読書、サッカー、柔道、英語、認知科学など
自己紹介:
滋賀県出身

東京都在住

千年以上続く、真言宗(高野山真言宗)の寺院(岡山県)の家系に生まれる。

真言宗の僧侶である祖父(権大僧正)と伯父(大僧正)を持つ(ともに大阿闍梨)。

昭和前期に、父方の祖母と母方の祖父が生長の家に触れる。

母より生長の家のみ教えを伝えられ、青少年練成会(小中高生向けの合宿形式のつどい)に参加する。

大学卒業後、民間会社に勤務の後、平成18年5月に宗教法人「生長の家」本部に奉職する。

平成22年3月、本部講師を拝命、現在に至る。

平成22年7月、生長の家教修会(生長の家の学会)で、「今日の自然観(心理学の視点から)」についての発表担当を務める。


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